一般歯科の治療は、何となく全体の流れをイメージできるかと思います。虫歯であれば歯を削ってレジンを詰めれば、その日に治療が完了することも珍しくありません。それが歯並びの治療である矯正歯科となると話は変わります。矯正歯科の治療は、一般歯科よりもプロセスが複雑になることに加え、期間も長くなるからです。それだけに矯正歯科治療に対して漠然とした不安を抱えている方もいらっしゃることでしょう。そこで今回は矯正歯科治療への不安を解消してもらうことも含めて、治療の流れを詳しく解説します。矯正歯科の通院を途中でやめるリスクについても説明します。
目次
【1】 矯正歯科治療の分類
矯正歯科治療は、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の2つに大きく分けられます。
① ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットとワイヤーを固定する治療法です。最もスタンダードな矯正法なので、皆さんもよくご存知のことでしょう。歯を大きく3次元的に動かすことに長けた装置で、適応範囲は比較的広いです。ただ、装置が目立ちやすい、歯の移動に伴う痛みが強い、装置が口腔粘膜を刺激しやすい、食事や歯磨きがしにくいなどデメリットを伴います。
② マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なポリウレタン製のマウスピースを使った矯正法です。ワイヤー矯正とは異なり、装置が目立たない、歯の移動に伴う痛みが少ない、装置が粘膜を刺激しにくい、食事や歯磨きを普段通りに行えるなどのメリットを伴います。当院でも採用しているマウスピース矯正のインビザラインは、世界100カ国以上、1700万人を超えるひとが治療を受けた矯正システムであることから、その効果も実証済みです。
【2】 一般的な矯正治療の流れ(例:プルチーノ歯科・矯正歯科の場合)
次に、一般的な症例の矯正治療の流れを紹介します。ここでは近年、人気を集めているインビザライン矯正を例に挙げます。
STEP1:カウンセリング
最初のステップはカウンセリングです。ここでは、歯並びや噛み合わせの問題について詳しくお話しし、インビザラインが適しているかどうかを確認します。
STEP2:精密検査
次に、精密検査を行います。口腔内の状態を正確に把握するため、X線写真やデジタルスキャンを用いて詳細なデータを収集します。
STEP3:デジタルシミュレーション
収集したデータを基に、歯の動きをシミュレーションします。これにより、治療の過程や最終的な結果を患者さんに視覚的に示すことができます。
STEP4:矯正治療のスタート
シミュレーションが完了し、患者さんの同意を得た後、治療がスタートします。インビザラインのカスタムアライナーが作成され、最初のセットを装着します。
STEP5:歯のクリーニング・アタッチメントの装着
アタッチメントと呼ばれる小さな突起物を歯に装着することで、アライナーの効果を高めます。また、歯のクリーニングも行い、アライナーのフィットを最適化します。
STEP6:経過の観察
治療中は定期的に経過を観察します。約6〜8週間ごとに来院し、歯の動きやアライナーの適合を確認し、必要に応じて調整を行います。
STEP7:矯正治療のゴール
治療期間が終了し、目標とする歯並びと噛み合わせが達成されると、アライナーの使用は終了します。最終的なチェックを行い、満足のいく結果が得られることを確認します。
STEP8:保定処置
治療後、歯が元の位置に戻らないようにするために、保定装置を使用します。リテーナーと呼ばれるこの装置を一定期間使用することで、治療効果を長持ちさせます。
インビザライン治療は、このように計画的に進められます。透明で取り外し可能なアライナーは日常生活に支障が少なく、快適に矯正治療を受けることができます。お子さんの歯並びを整える親御さんにとっても、安心して選べる治療法です。
【3】矯正治療終了後の「保定期間」とは
歯を動かす動的治療(どうてきちりょう)が終了したら、保定期間へと移行します。
① 「保定」と「保定期間」とは
保定とは、矯正で動かした歯の後戻りを防止するための処置です。リテーナーと呼ばれる専用の装置を装着して、歯並びをその位置で固定します。保定期間は、保定に要する期間で、一般的には動的治療と同じくらいの期間となります。例えば、歯を動かすのに1年半かかった場合は、保定も1年半程度、継続しなければなりません。
② 「保定」を疎かにした場合のリスク
保定は、動的治療と同じくらいの期間がかかるため、途中でやめたいと思う方も少なくありません。半年も保定すれば歯並びも固定されているだろうと思い込んで、リテーナーの使用を疎かにすると、ほとんどのケースで後戻りが生じます。患者さんの歯並びの状態によっては、矯正治療を行う前まで後戻りしたり、噛み合わせが悪くなったりすることもあるため十分な注意が必要です。そのため保定の方法や保定期間は、歯科医師に指示に従うことが重要といえます。
【4】もし途中で治療をやめてしまった場合のリスク
矯正歯科の治療を途中でやめてしまうと次のリスクを伴います。
① 噛み合わせ等の機能面でのリスク
矯正歯科の治療は、歯並びをきれいに整えるだけでなく、上下の歯列の噛み合わせを正常化することも目的としています。噛み合わせというのはとても複雑なもので、矯正の途中の段階では乱れていることが多いです。食事の際に噛みにくいと感じることもありますが、最終的には噛み合わせまで正常化するように計画が立てられているのです。それを途中でやめてしまえば、歯の機能面で異常をきたします。上下の歯列が正しい位置で噛み合っていない状態で放置することになるため、今後の人生にも大きな悪影響を及ぼしかねません。
② 費用面でのリスク
矯正歯科の治療を途中でやめた場合は、すでに支払った費用が返ってこないことがあります。矯正治療はそもそも装置に高いお金がかかるため、マルチブラケット装置を装着したり、マウスピース型矯正装置を製作したりした段階で、かなりの費用がかかっているのです。また、中断した矯正治療を再開する場合でも、装置の作り直しが必要になったり、治療計画を立て直さなければならなかったりすることから、当初よりも費用がかさむ点に注意が必要です。
③ 治療期間長期化のリスク
矯正歯科の治療を中断すると、歯の後戻りが生じます。患者さんによってはその間に虫歯や歯周病にかかって、口内環境が変化することもあるでしょう。そうなると矯正歯科治療を再開した場合でも、当初の予定より長い期間を要することになります。本来は1年半で終わっていた矯正が2年、3年と長引いてしまうのです。
【5】治療を再開する際の流れ
何らかの理由で中断した矯正歯科治療を再開する場合は、次の流れで進行します。
STEP1:矯正を受けていたクリニックに相談する
矯正を再開する場合は、治療を受けていたクリニックに相談することから始めましょう。その際、再治療への希望をきちんと伝えておくことが大切です。再治療を断られた場合やその他のクリニックに治療を任せたい場合は、診療情報の提供を受け、紹介状を書いてもらうと良いでしょう。
STEP2:治療計画を立て直す
矯正の再治療が決まったら、治療計画を立て直します。必要に応じて、装置も再製作します。
STEP3:矯正治療を再開する
矯正装置を装着して、再治療を開始します。
STEP4:矯正の終了・保定
歯の移動が完了したら保定へと移行します。
【6】プルチーノ歯科・矯正歯科 四日市院のご紹介
今回は、矯正歯科の流れや途中でやめるリスク、再開する方法についてプルチーノ歯科・矯正歯科 四日市院が解説しました。当院では、途中でやめた矯正歯科の再治療やセカンドオピニオンにも対応しておりますので、何かお困りのことがあればお気軽にご相談ください。
◎インビザラインが得意な通いやすい歯医者さん
プルチーノ歯科・矯正歯科 四日市院は、ワイヤー矯正だけでなくマウスピース矯正のインビザラインにも対応しております。これまでたくさんの症例をインビザラインで治療してきた経験がありますので、他院で治療を中断してしまった方もまずはご相談ください。当院はイオンタウン四日市泊内で開業している歯医者さんで、通院もしやすいです。