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数年かかった歯科矯正がやっと終わって、装置やマウスピースが外せるようになった、口の中がすっきりしてよかったと思っていませんか。
歯科矯正が終わった後は、保定装置を使って歯並びを定着させる必要があります。装置がまだ必要なのかと思って、うんざりするかもしれません。
この記事を読めば、保定装置の重要性が分かり、歯科矯正で整えた歯並びを長くキープできます。ぜひ最後までご覧ください。
保定装置とは?
保定装置は、歯科矯正で歯並びを治した後に使用する装置のことです。
歯科矯正が終了したばかりのときは、歯の位置を支える骨(歯槽骨)が不安定なため、元の歯並びに戻ろうとする「後戻り」が起きる可能性があります。
何年もかけて歯並びを整えたのに、元通りになってしまっては悲しいですね。
歯科医院の指示に従い、保定装置を適切に使って矯正後の歯の位置をしっかり固定しましょう。
保定装置の種類
保定装置は矯正装置とどのような点が異なるのか気になりませんか。
保定装置の種類は大きく分けて以下の4種類です。それぞれ説明します。
・ボンデッドワイヤー(歯の裏側に固定するタイプ) ・リテーナー(歯全体を保定する、取り外し可能なタイプ) ・スプリングリテーナー(下の前歯のみを保定する、取り外し可能なタイプ) ・マウスピース(歯全体を保定する、取り外し可能なタイプ) |
ボンデッドワイヤー(歯の裏側に固定するタイプ)
ボンデッドワイヤーは自分で取り外しできない保定装置です。
ワイヤーを前歯の裏側に装着し、歯並びを整えたり後戻りを防いだりします。
ワイヤーのみで保定する場合と、取り外しできる装置と一緒に使用する場合があります。
ボンデッドワイヤーのメリットとデメリットは以下のとおりです。
【メリット】
・歯の裏側に装着するため、人に気づかれにくい
・自分で取り外しできないため、紛失の心配がない
・装置が固定されているため、後戻りしにくい
【デメリット】
・歯の裏側に装着するため、舌が当たった時に違和感がある
・装置が歯に接着しているため、歯磨きがしづらい
・歯磨きの際に取り外せないため、汚れや歯石がつきやすい
・細いワイヤーが複数の歯を支えるように接着されているため、保定された歯はフロスが使えない
リテーナー(歯全体を保定する、取り外し可能なタイプ)
リテーナーは最も代表的な保定装置で、取り外しが可能です。
歯に当たる部分に銀色のワイヤーが使われているのが一般的ですが、前歯の部分のみ透明の樹脂を使用したリテーナーもあり、目立ちにくいメリットがあります。
リテーナーのメリットとデメリットは以下のとおりです。
【メリット】
・丈夫なため長持ちする
・自分で取り外しできるため歯磨きしやすく、衛生的に使用できる
・歯の表面のみを覆うため、かみ合わせに影響しない
【デメリット】
・自分で取り外しできるため、装着時間が短くなったり、紛失したりする可能性がある
・口の中が狭くなるため話しづらくなる
・銀色のワイヤーを使用している場合、ワイヤーが歯の外側に出るため保定装置が見える
スプリングリテーナー(下の前歯のみを保定する、取り外し可能なタイプ)
スプリングリテーナーは下の前歯に使用する保定装置で、取り外しが可能です。
また、後戻りが軽度の場合にも使用できます。
前歯に使用するため、ボンデッドワイヤーとは併用できませんが、ワイヤーを外した後の保定装置として使用する場合があります。
前歯のみに使用する保定装置のため小さく、紛失しやすいためご注意ください。
スプリングリテーナーのメリットとデメリットは以下のとおりです。
【メリット】
・丈夫なため長持ちする
・後戻りが軽度の場合にも使用できる
・自分で取り外しできるため歯磨きしやすく、衛生的に使用できる
・歯の表面のみを覆うため、かみ合わせに影響しない
【デメリット】
・自分で取り外しできるため、装着時間が短くなったり、紛失したりする可能性がある
・口の中が狭くなるため話しづらくなる
・ワイヤーが歯の外側に出るため、口を開けると保定装置が見える
マウスピース(歯全体を保定する、取り外し可能なタイプ)
マウスピース型の保定装置は自分で取り外し可能です。
また、透明で目立たないのがメリットと言えます。
ボンデッドワイヤーと併用して効果を高めたり、後戻りした時の矯正装置として使用する場合もあります。
色が透明で紛失しやすいため、気をつけましょう。
マウスピースタイプのメリットとデメリットは以下のとおりです。
【メリット】
・透明で目立たない
・自分で取り外しできるため歯磨きしやすく、衛生的に使用できる
・金属が使われていないため、口内炎になりにくい
【デメリット】
・自分で取り外しできるため、装着時間が短くなったり、紛失したりする可能性がある
・色が透明のため紛失しやすい
・歯の上部も覆う装置のため、歯ぎしりや噛みしめで穴が開きやすい
保定装置を使用する時間や期間は?
保定装置の使用時間は1日20時間以上、使用する期間は2年から3年が一般的です。
それぞれ説明します。
保定装置を使用する時間
保定装置は歯磨きや食事以外の時間に装着する必要があります。
1日20時間以上の装着を目安にしましょう。
保定装置を20時間以上装着しないと、後戻りの原因となります。
矯正が終了したばかりの頃は特に後戻りしやすいため、注意が必要です。
歯の位置が定着してきたと思われた場合、歯科医院で経過を確認しながら少しずつ装着時間を減らします。
歯の位置がほぼ定着すれば、睡眠時のみの装着になります。
保定装置を使用する期間
保定装置を使用する期間は、歯科矯正にかかる期間と同程度のため個人差がありますが、2年から3年が一般的です。
保定装置を数年も使うのはつらいと思うかもしれません。
しかし、後戻りを防ぐためには歯科医院の指示どおりに保定装置を使用するのが大切です。
保定装置を使わないとどうなる?
歯科矯正後、保定装置を使わないと元の歯並びに戻ってしまいます。
歯科矯正が終了したばかりのときは歯の周辺が不安定なため、ほぼ確実に後戻りすると言われています。
後戻りすると保定装置が使えなくなり、再矯正が必要になるかもしれません。
再矯正になると、時間と費用がさらにかかってしまいます。歯科医院の指示どおりに保定装置を使い、歯並びを定着させましょう。
保定装置のお手入れ方法
保定装置を外したら水でよく洗いましょう。
歯ブラシに歯磨き粉をつけて軽く磨くのもおすすめです。
また、リテーナーやマウスピース用の洗浄剤を1日1回使用すると、雑菌の繁殖を防いで清潔に使えます。
リテーナーやマウスピースは熱で変形するため、熱湯をかけたり、高温の場所に置くのはやめましょう。
保定装置を外した後はケースに入れるのを習慣づけるとよいでしょう。
小さいお子様やペットが誤って口に入れたり、壊したりするかもしれません。
また、お子様やペットが怪我をしてしまう可能性もあります。
リテーナーやマウスピースを壊すと再作成の費用がかかるため、お気をつけください。
矯正歯科で使う保定装置に関してよくある質問
Q:保定装置を装着する時に痛みはありますか?
A:保定装置は矯正した歯の位置を固定する装置のため、歯科矯正中のような痛みはありません。しかし、保定装置を長い間外したままにすると、装着した際に窮屈に感じる場合があります。保定装置が入らなくなった場合は、歯科医院にご相談ください。
Q:保定装置が壊れてしまったときはどうしたらよいですか?
A:無理に使用すると口の中を怪我する可能性があるため、歯科医院にご相談ください。
Q:保定装置の料金はいくらですか?
A:保定装置の料金は治療費に含まれていることが多いですが、歯科医院にご確認ください。保定装置の料金が治療費に含まれていても、予備が欲しい場合や破損した場合は別料金になるかもしれません。
Q:保定装置を使用している間も歯科医院への通院は必要ですか?
A:歯科医が定期的にチェックするため、保定装置を使用している期間も通院が必要です。最初は月に一度、その後は経過を見ながら2~3ヶ月に1回、その後は半年に1回のペースで通院回数が少なくなることが多いと言われています。通院のタイミングは歯科医院にご相談ください。
まとめ
・保定装置は、歯科矯正で整えた歯並びを定着させる装置のこと ・保定装置の種類は自分で取り外しできるタイプと、取り外しできないタイプがある ・保定装置は1日20時間以上装着する ・保定装置は2年から3年使用することが多い ・保定装置を正しく使わないと、後戻りする可能性がある ・保定装置をお手入れする際は水洗いと、歯ブラシと歯磨き粉を使う方法の他に、専用の洗浄剤を使用するとよい |
保定装置を口に入れると、歯科矯正の時とは異なる違和感があり、つらいと思うかもしれません。
しかし、歯科医院の指示どおりに保定装置を使うと、矯正でキレイに整った歯並びがキープできます。
健康的で美しい歯並びを保つために、保定装置の装着を頑張って続けていきましょう。