マウスピース矯正のインビザラインは、抜歯が適応されないことが多いです。非抜歯で歯並びの治療を進めていくことになるため、その点を魅力に感じている方も多いようです。ただ、インビザラインでは「歯を削ることがある」という話も広まっています。
歯を削るというと、虫歯治療がまず思い浮かびますが、なぜ矯正治療でそうした処置が必要となるのか。歯を削ることによってデメリットは生じないのか。今回はそんなインビザラインで歯を削る処置について、四日市のプルチーノ歯科・矯正歯科がわかりやすく解説をします。
目次
【1】 結論:削ることはあります。
結論から言うと、インビザライン矯正で歯を削ることはあります。抜歯ほど大掛かりな処置ではないため、実際に経験された方も矯正が終わる頃には忘れているケースも珍しくはありません。
(1)なぜ歯を削る処置が必要なのか
そもそもなぜ歯列矯正で歯を削る必要があるのか。これが皆さんにとっても最大の疑問になるかと思います。かけがえのない歯質を削るという処置は、虫歯のような病気を治す以外で行いたくないという方も多いです。けれども、その本質は矯正治療における便宜抜歯(べんぎばっし)とほぼ同じであるため、必要性を理解することですんなり同意いただける患者さんがほとんどを占めます。
・IPRとは?
ちなみに、歯列矯正のために歯を削ることを「IPR(アイピーアール)」と言います。IPR(Inter Proximal Reduction)とは、歯の隣接面を削合するという意味で、「ディスキング」や「ストリッピング」と呼ばれることもあります。歯の側面をヤスリのような器具で0.1~0.25mm程度削ります。歯の表面を覆っているエナメル質の厚みは、部位によっても異なりますが2~3mm程度あるため、IPRで歯を削ったとしても大きな悪影響は生じるリスクは極めて低いです。
(2)IPRを行う必要性の説明
インビザライン矯正でIPRを行う主な理由は、スペース不足です。歯のサイズが大きかったり、顎の骨が狭かったりすると、きれいな歯列弓(しれつきゅう)を作ることができません。日本人の悪い歯並びの多くは、このスペース不足に由来していることから、インビザライン矯正でもIPRが必要となりやすいのです。IPRでスペースを作り出して、矯正治療の精度を上げます。その他、以下に挙げるような目的でもIPRを行うことがあります。
① 歯の大きさのバランスを整えるため
私たちの歯には「歯種(ししゅ)」というものがあって、左右1対で存在しています。最も目立ちやすい1番目の歯は「中切歯(ちゅうせっし)」で、左右のバランスが悪いことも珍しくありません。皆さんも鏡で前歯を観察してみると、大きさが微妙に違うことに気付くかもしれませんね。もちろん、先天的に左右の歯がまったく同じ大きさの方もいらっしゃいますが、バランスが悪い場合は、IPRによって改善できることもあります。インビザライン矯正では、単に歯を並べるだけではなく、最終的な仕上がりの美しさを追求するために、歯を削る必要性が出てくる場合もあるのです。
② ブラックトライアングルを改善するため
ブラックトライアングルとは、歯の隣接面と歯茎との間に生じる三角形のすき間です。トライアングル状の黒いすき間として目に映ることから、このような名前が付けられています。ブラックトライアングル自体は、実害をもたらす病気や異常ではないのですが、主に審美的な問題が大きいため、IPRで改善することが多いです。歯の隣接面を少しずつ削ることで密着性が高まり、歯茎との間のすき間も改善されます。インビザライン矯正では、前歯に認められるブラックトライアングルをIPRで改善するケースがほとんどといえます。
③ 歯の出っ張りを改善するため
歯の出っ張りというのは、いわゆる「出っ歯」を指します。出っ歯の原因はいくつか考えられますが、IPRが必要になるのは上でも述べたスペースが不足しているケースです。スペースが足りないことで前歯が歯列弓から出っ張ってしまっている症状をIPRで改善します。ちなみに、歯の出っ張りがあまりにも大きい場合は、歯を削る処置ではなく、抜歯でなければ対処できないこともあります。その点は精密検査をしてみなければわかりません。
【2】 ディスキング(IPR)のメリット・デメリット
歯を削るディスキング(IPR)には、次に挙げるようなメリットとデメリットがあります。
(1)メリット
① 抜歯をしなくても矯正が可能
歯を削るディスキング(IPR)を行う最大のメリットは、インビザライン矯正で抜歯を回避できるという点です。通常であれば前から4・5番目の小臼歯(しょうきゅうし)を丸ごと抜くことになるのですが、歯を削ることでスペースを作り出せるのなら、抜歯は避けられます。矯正治療を成功させるためであっても健康な歯は抜きたくないという方には、歯を少し削るだけで良いディスキング(IPR)は、とても魅力的に感じることでしょう。実際、医学的にも歯を抜かずに済むのなら、それに越したことはありません。
② 矯正後の仕上がり美しくなる
ディスキング(IPR)の必要性・目的でも解説したように、歯を削ることで矯正後の仕上がりが美しくなります。皆さんも矯正を始めるとわかりますが、歯がきれいに並んでいくと、より美しい仕上がりを追求していきたくなるものです。その際の微調整として、歯を少し削るディスキング(IPR)は極めて有用です。
③ 後戻りが生じにくくなる
スペースが不足したまま無理やり歯を移動させても、元に戻ろうとする力が強く働いてしまいます。ディスキング(IPR)でスペースに余裕を持たせておけば、後戻りする力も働きにくくなります。インビザライン矯正によって得られた美しい歯並びを長く維持しやすくなるのです。
(2)デメリット
① 健康な歯を削らないといけない
ディスキング(IPR)では、健康な歯質を削らなければなりません。ただし、削る量は0.1~0.25mmくらいなので、歯の健康を害することはありませんのでご安心ください。もともと歯質が薄いケースには、そもそもディスキング(IPR)を適応することはありません。
② 削っている際に痛みや出血を伴うこともある
ディスキング(IPR)で歯質を削っている時には、稀ではありますが痛みや出血を伴うことがあります。処置中に痛みを感じたら、すぐ歯科医師に伝えましょう。虫歯治療のように激しく歯を削ることはないので、強い痛みが生じることはほとんどありません。
【3】歯を削ることに対するよくある質問
(1) 虫歯になりやすくならないの?
歯を削るディスキング(IPR)で虫歯になりやすくなるということはまずありません。エナメル質は2~3mmあり、歯質を削る量は0.1~0.25mm程度にとどまるため、歯に加わるダメージも皆無に等しいです。また、ディスキング(IPR)では表面が荒れないような方法で歯を削ることから、汚れがたまりやすくなるということもないでしょう。
(2)歯を削ることによって痛みやしみたりすることはない?
歯を削る際に、キーンとしみるような感覚が生じることはあります。また、刺激に敏感な方は痛みを感じるかもしれません。ただそれはあくまで一時的な症状で、すぐに治まります。
【4】プルチーノ歯科のご紹介
今回は、インビザライン矯正で歯を削るディスキング(IPR)という処置について解説をしました。四日市のプルチーノ歯科・矯正歯科は、インビザライン矯正に力を入れている歯医者さんで、歯を削るディスキング(IPR)にも慣れています。痛みなどの不快症状が少ない処置を実現することも可能となっておりますので、四日市でインビザライン矯正を検討中の方は、ぜひ当院までご相談ください。当院はインビザライン・ダイヤモンド・プロバイダー認定を受けている歯医者さんです。