ご家族やパートナーが眠っている時に歯軋りをして、驚かれた経験がある方も多いことでしょう。歯軋りは想像以上に大きな音が出るため、一緒に眠っている人は不安に感じてしまうかもしれません。それがもしご自身にも起こっていたらどうしますか?今回の記事ではそんな歯軋りを自覚した場合に放置すべきか、医療機関で治療を受けるべきかについて、四日市の歯科医院である「プルチーノ歯科・矯正歯科」が詳しくご紹介します。
目次
そもそも歯軋りとは
歯ぎしりとは、上下の歯をギリギリと軋ませながら強く接触させる行為です。主に眠っている時に起こるものですが、日中でも強いストレスがかかった場合に生じます。歯をギリギリと擦り合わせることでストレスを解消でき、ケースによっては集中力を高めることができるため、歯軋りが習慣化してしまっている人も珍しくありません。
歯軋りの症状
歯軋りの主な症状は、ギリギリという接触音です。この音を指摘されて、歯軋りを自覚する人は少なくないです。その他、歯軋りには次に挙げるような症状が認められます。
◎歯が痛い
歯軋りによる影響で、歯に大きな負担がかかって痛みが生じます。その結果、歯髄炎(しずいえん)の症状が引き起こされると、歯の神経を抜く抜髄(ばつずい)などの治療が必要となるため要注意です。
◎歯茎が痛い
歯軋りは、歯茎や顎の骨の炎症を引き起こすこともあります。歯茎の痛みや腫れというと、歯周病をまず思い浮かべる人がほとんどかと思いますが、歯軋りによる慢性的な刺激で引き起こされる場合もあるのです。少し難しい言葉となりますが歯軋りは「咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)」という病気にまで発展しかねないのです。咬合性外傷は、細菌感染を伴わない歯周病のようなもので、進行すると歯茎が下がったり、歯がグラグラと動揺したりする症状が見られたりします。
◎噛むと痛い
噛んだ時に痛みを感じるのも歯軋りによって引き起こされる症状のひとつです。その多くは、歯根の周りを取り巻く「歯根膜(しこんまく)」の炎症に由来します。
◎歯根が割れる
歯軋りを放置して重症化させると、歯根破折を招くことがあります。歯の根っこが割れる現象で、完治させることが困難なことが多く、抜歯せざるを得ないケースも少なくないです。
◎歯が摩耗する
私たちの歯は、エナメル質という極めて硬い組織に覆われています。その硬さは永久歯を一生涯、使い続けることができるほどです。歯を削る時にダイヤモンドの粉末がまぶされたバーを使わなければならないことからも、その強度の高さがうかがい知れることかと思います。ただ、どんなに硬いものでも、同程度の硬さのもの同士がこすれ合うと摩耗してしまいますよね。それはエナメル質も例外ではありません。
歯軋りが習慣化している人の歯には、ほぼ100%の確率で摩耗が見られます。厳密には咬耗(こうもう)と呼ばれる現象です。咬耗の症状が強くなると、歯が短くなるだけでなく、噛む部分が平らになってしまいます。
歯軋りの原因
歯軋りは主に以下の3つの原因によって引き起こされます。
原因1:噛み合わせ・骨格の異常
上下の噛み合わせや顎の骨格にアンバランスがあると、歯軋りが誘発されやすくなります。歯軋りが習慣化している人は、上下の歯が正常な位置で噛み合っているかどうかをまずセルフチェックしてみましょう。歯列の中に噛んでいる部分と噛んでいない部分があったり、顎の位置が左右非対称であったりする場合は要注意です。歯科医院での精密検査を受けることをおすすめします。噛み合わせの異常は、特定の歯の高さを調整することで改善できる場合もありますが、歯列矯正が必須となるケースも少なくありません。
原因2:ストレス・疲労
学校や会社で強いストレスを受けたり、疲労がたまっていたりする場合も歯軋りが起こりやすいです。集中力を要する作業を行う時も歯をギリギリと擦りやすくなります。おそらく皆さんもそうした歯軋りを自覚したことがあるのではないでしょうか。
原因3:飲酒・喫煙
アルコールやニコチン、カフェインなどは、歯軋りの症状を悪化させるといわれています。これらの物質を習慣的に摂取している方は、歯軋りに要注意です。喫煙習慣に関しては、その他の理由からも完全に断った方が良いといえますが飲酒は適度に継続することで、ストレスを解消できる場合もあります。カフェインも摂り過ぎに注意するようにしてください。
歯軋りの悪影響
歯軋りが習慣化していると、次に挙げるような悪影響が生じます。
・歯軋りの悪影響その①歯周病が悪化する
歯周病を患っている人は、歯軋りによる症状の悪化にご注意ください。上でも述べたように、歯軋りは歯周組織に多大なダメージを与えます。その結果、歯茎や顎の骨の炎症・破壊を促進させてしまうのです。
・歯軋りの悪影響その②顎関節症を引き起こす
歯軋りによる悪影響は、歯や歯周組織にとどまりません。そしゃく機能の支点となる顎関節にまでその影響は広がり、顎関節症を引き起こすことがあるのです。実際、顎関節症の患者さんの多くには、歯軋りが認められます。
・歯軋りの悪影響その③肩こりや頭痛に悩まされる
肩こりや頭痛は、一見すると歯軋りとは何ら関係がないように見えます。患者さん自身も原因を特定できずに長い間、悩まされ続けているケースも多いです。そこで知っておいていただきたいのが筋肉の特徴です。噛む時に使う筋肉は、お口周りだけではなく、頭や首、肩の筋肉とも連動しています。そのため歯軋りで噛む時の筋肉を酷使すると、周囲の筋肉にまで大きな負担をかけてしまうのです。その影響が肩こり・頭痛として現れる場合もあります。歯をギリギリと長時間、擦り合わせた時の振動が原因で頭痛を引き起こすこともあります。
歯軋りって治るの?
ここまでは、歯軋りの症状や原因について解説してきましたが、歯軋りの治し方・治療法も気になりますよね。
・完治させるのは難しい
結論からいうと、歯軋りを完全に治すことは難しいです。歯軋りは複合的な原因で引き起こされるものなので、そのすべてをきれいに取り退かない限り完治も期待できないでしょう。ただし、適切に対処すれば歯軋りによる悪影響を軽減させることは可能です。
・悪影響を軽減させる方法
その1:スプリント療法
歯軋りによる悪影響を軽減させるのであれば、スプリント療法が効果的です。患者さん専用のマウスピースを作って、眠っている時に装着します。歯軋りそのものを取り除けるわけではありませんが、歯や歯茎にかかる負担を大幅に軽減できます。ケースによっては歯軋りの症状も軽くなっていきます。
その2:噛み合わせの改善
歯の高さを調整したり、歯並びを整えたりすることでも歯軋りは改善できます。噛み合わせが正常化されれば、歯軋りの症状も自ずと軽くなっていくのです。
その3:顎の骨格のアンバランスを改善
上下の顎のアンバランスが歯軋りの原因となっている場合は、外科矯正によってその症状を改善できる場合があります。その結果、歯並び・噛み合わせ・顔貌の異常なども改善できることでしょう。ただし、大掛かりな手術などが必要となるため、多くの人におすすめできるわけではありません。
・自分でできるセルフケア
歯軋りによる悪影響を軽減したい場合は、まずセルフケアから始めましょう。歯軋りの原因となっているストレス・疲労・飲酒・喫煙などは、少しずつでも良いのでご自身の意志と努力で改善していってください。その積み重ねが歯軋りの改善、解消へとつながっていきます。
まとめ
今回は、歯軋りの症状や原因、治療する方法などを四日市の歯医者「プルチーノ歯科・矯正歯科」が解説しました。歯軋りは無意識に行ってしまうことが多い習癖で、そのリスクやデメリットを軽視している人も少なくありません。けれども、歯軋りを放置すると歯根が割れたり、顎関節症を引き起こしたりするリスクが高まるなど、皆さんが考えている以上に厄介な悪習癖であるといえますので、早期に改善するのが望ましいです。そんな歯軋りの症状にお悩みの方は、お気軽に当院までご相談ください。四日市の歯科医院であるプルチーノ歯科は、歯軋りに治療にも対応している歯医者さんです。インプラント治療をはじめとした口腔外科分野からお子様の治療にあたる小児歯科治療にいたるまで幅広く対応しております。
スムーズな診療にあたって事前にご予約をいただご来院いただけますと幸いです。医師ならびにスタッフ一同皆様に安心して治療に臨んでいただき、お口のお悩みを解消できるよう努めてまいります。