歯石は、歯垢ほど簡単に形成されるものではありませんが、一度付着すると歯ブラシによるブラッシングで取り除くことはできません。ザラザラとした歯石が足がかりとなって、歯垢の付着が促進され、さらなる歯石の形成へとつながっていきます。そうした負のループを未然に防ぐためにも、歯石を歯医者でしっかり取り除くようにしましょう。今回は、そんな歯石除去を歯医者で受けるメリットや歯石の形成を予防する方法などを四日市のプルチーノ歯科・矯正歯科がわかりやすくご紹介します。
目次
【1】 歯石とは?
まずは、歯石とは何なのか。歯石が生じる原因、放置するリスクなどについて、正確に知ることが大切です。
(1) 歯石の原因とは?
歯石は、歯垢(プラーク)が唾液による石灰化作用を受けた物質です。本来、唾液による石灰化作用は、エナメル質や象牙質を強くする効果が期待できるのですが、歯面に歯垢が付着していると、その作用が妨げられるだけではなく、歯石の形成を促します。つまり、歯石がある状態は、二重の意味で虫歯予防を後退させてしまうのです。逆にいうと、歯面に歯垢が一切ないプラークフリーな環境では、歯石が形成される可能性はゼロとなり、歯の石灰化作用も順調に進んでいきます。
(2) 歯石を放置するとどうなる?
歯石は、水分をほとんど含まない石のような物質であることから、それ自体が病原性を持つことはほとんどありません。ですから、歯石が歯面に付着しているだけで、虫歯や歯周病にかかることはないのです。けれども、歯石が形成されている口内環境は、ほぼ間違いなく不潔であるといえます。歯石の上の歯垢が形成され、そこで細菌が繁殖することで、虫歯・歯周病リスクは着実に上昇します。とくに歯周病には要注意です。歯石が形成されている部位の周りの歯茎に炎症が起こり、徐々に破壊が進んでいきます。予防歯科の観点からも望ましくないといえます。
(3) 歯石がつかない方法とは?
上でも述べたように、歯石は下地となる歯垢が存在していなければ形成されません。ですから、歯石を作りたくない場合は、プラークコントロールを徹底することが何よりも有効です。歯垢は、食事から8時間程度で発生しますが、歯石の形成には1~2週間程度かかります。ただし、歯垢の石灰化は、形成から24時間程度で始まるため、1日1回は歯垢をすべて取り切るケアを行いたいものです。そうしたセルフケアの徹底によって、歯石の形成はある程度、抑えられます。ただそれは、100%の予防にはなりません。なぜならどんな人でも歯と歯の間や歯と歯茎の境目には、磨き残しが少なからず生じてしまうからです。
【2】歯石を除去する方法
続いて、歯石を取り除く方法について考えていきましょう。
(1) 歯石はどうやったら取れる?
繰り返しになりますが、歯石は歯ブラシによるブラッシングでは除去できません。石のように硬いことから、かための歯ブラシでゴシゴシと磨いても意味がないのです。そこで必要となるのが「スケーリング」と呼ばれる処置です。スケーリングは、スケーラーという先端の鋭利な器具を使って、歯面に形成された歯石を削り取ります。基本的には、歯科医院で受ける治療となりますが、セルフケアという選択肢もないわけではありません。
(2) 歯科医院での治療
歯科医院では、定期検診・メンテナンスでスケーリングを受けることができます。保険診療で費用負担を安くできるものの、スケーリングにかけられる時間はかなり短いといえます。ですから、歯石を一度にすべて取り除きたい方は、自費診療のクリーニングやスケーリングがおすすめといえます。ちなみに、歯科医院でのスケーリングでは、超音波スケーラーという有用な機器を使用できます。超音波スケーラーは、超音波の振動で歯石を砕きながら取り除く機器で、施術に伴う痛みも比較的少ないです。
(3) セルフケア
歯石をセルフケアで除去する場合は、薬局やドラッグストアで市販のスケーラーを購入する必要があります。市販のスケーラーは、安価で手に入れやすいことから、自力で歯石を取り除いた方がいろいろとメリットも大きいように感じますよね。実際は、デメリットの方が大きいため、歯科医療従事者で歯石をセルフケアで取り除くことを推奨する人は皆無に等しいです。
(4) セルフケアのメリット・デメリット
◎メリット
セルフケアで歯石を取り除くメリットは、費用が安い、通院する必要がない、気になった時に小まめに取り除ける、といった点が挙げられます。
◎デメリット
セルフケアで歯石を取り除くデメリットは、歯や歯茎を傷つけるリスクが高い、素人が正しくスケーリングすることは難しい、といった点が挙げられます。スケーリングを自分でやったことのある方なら実感しているかと思いますが、スケーリングはとても難しい処置です。適切な技術・知識・経験がなければ、安全性・確実性を確保することはほぼ不可能です。そもそも歯科医師や歯科衛生士でさえ、自分で歯石を取ることはしないのです。
【3】普段からできる歯石がつかない方法
次の方法を実践すると、歯石の形成を防ぐことができます。
(1) デンタルフロスを使って歯と歯の間の汚れを落とす
歯と歯の間の汚れは、デンタルフロスか歯間ブラシを使って取り除きましょう。歯間距離が短い人はデンタルフロス、長い人は歯間ブラシがおすすめです。これらの器具を使って1日1回でも歯間部をプラークフリーな状態にできれば、歯石の形成を防げます。もちろん、それ以外の部位は、歯ブラシで適切にブラッシングする必要があります。
(2) 歯石が付きにくい歯磨き粉
歯磨き粉には、歯石が付きにくい成分配合のものを選ぶと良いですよ。「歯石が付きにくい」とは「歯垢が付きにくい」と同義なので、フッ素が入っていることが何よりも重要となります。フッ素は歯の再石灰化を促すとともに、歯面への汚れの付着を防止する効果も期待できるからです。歯垢や着色汚れを効率よく落とせるホワイトニングのような効果を持った歯磨き粉は、研磨剤の有無に要注意です。研磨剤がたくさん配合されていると歯の表面に傷が付いて、汚れの付着を促してしまうからです。
(3) 歯肉の境目をブラッシングする
歯石が最も形成されやすいのは、歯と歯茎の境目です。この部分は歯ブラシを斜め45度に傾けてブラッシングしましょう。磨き残しがあると歯石が形成されるリスクも大きく上昇します。
(4) 定期的に歯科医院でクリーニングをおこなう
歯石の形成を防止する上では、プロフェッショナルケアも有用です。正しい歯磨き方法が身に付いている人は、セルフケアだけでも歯石形成を防止できますが、多くの人はプロケアも欠かせません。3~4ヵ月に1回くらいの頻度で歯科医院のクリーニングを受けることで、歯石が付きにくい清潔な口内環境を維持できます。
【4】歯石除去する際の歯科医院の選び方
歯石除去を任せる歯科医院を探す際には、以下の3点に着目しましょう。
(1) クリーニングに関する治療提供を公表している
歯科医院のホームページで、クリーニングに関する治療を行っているかどうかをチェックしてください。自費診療であるPMTCに対応しているとなお良いでしょう。
(2) 治療の際の設備の充実度
ひと言で歯のクリーニングといっても、いろいろな器材や薬剤、設備などを使用します。そうした医療設備が充実している歯医者さんの方がクリーニングの質も自ずと高くなります。
(3) 歯科衛生士の技術力
歯のクリーニングの主役は、歯科衛生士さんです。診療体制によっては歯医者さんが担当することもありますが、基本的には歯科衛生士さんが主体となってお口のお掃除を行います。ですから、歯科衛生士さんの技術力が高い歯科医院を探すようにすると良いですよ。
【5】まとめ
今回は、歯石除去を受けるメリットについて、四日市のプルチーノ歯科・矯正歯科が解説しました。当院では、PMTCを含めた歯のクリーニングに力を入れている歯医者さんです。歯科衛生士さんもマイクロスコープを使いこなすほど熟練した技術を持っておりますので、歯のクリーニングもぜひお任せください。その他、歯石除去に関する疑問や不安があれば、お気軽に当院までご相談ください。歯科医師ならびにスタッフ一同皆様のご来院をお待ちしております。